甦る自動車危機の悪夢、各国で補助金の期限切れが相次ぐ

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待ちに待った吉報が届いた。米国の8月新車販売は前年同月比1%増と、22カ月ぶりにプラスに転じた。

牽引役は、新車購入助成金制度だ。米国政府は7月下旬から約1カ月間、低燃費車から高燃費車への買い替えに最大4500ドル(約42万円)を支援。申し込みが殺到し、予算を追加するドタバタぶりだったが、計30億ドルで69万台分の需要をもたらした。

メーカーには干天の慈雨となった。たとえば米国売上比率の高いホンダでは、8月は14%増となり、単月で歴代2位を記録。一時は100日を超えた在庫も25日へ急減した。オハイオなど米州4工場で休日稼働を再開している。

が、山高ければ谷深し。人工的な浮揚策には反動減の心配がついて回る。「米国では失業率9%台半ばの状態が続いており、販売がぐんぐん戻るような勢いは見られない。需要の先食い懸念も含めて楽観できる状況ではない」(松島憲之・日興シティグループ証券アナリスト)。追加的政策がなければ、9月に反落するのは必至の情勢だ。

反動減の警戒感

自動車危機が昨秋に勃発して以降、世界各国は次々と新車購入奨励政策を打ってきた。今後、それらが順を追って期限切れとなる。

日本でも4月にエコカー減税、さらに6月中旬からは最大25万円の経年車買い替え補助金制度が始まり、8月の新車販売台数は0・5%減と前年並みに持ち直した。

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