浜田宏一氏「消費増税強行はかなりのリスク」 「今の政権ではない人が主に決めたこと」
増税判断は「政治的、経済的リスクを一身に引き受けている安倍首相がすること」としたが、民主党政権時代に自民、公明との3党合意で消費増税が決まった経緯に言及し、「今の政権ではない人が主に決めたこと。増税したら船がガクっとくることがわかっている時に、3年前の船長と約束したのだからやりましょう、とは言えない」と語った。
本田氏の補正5兆~7兆円に賛成
与党内では2016年度補正予算による追加の経済対策を求める声もあり、本田悦朗内閣官房参与は需給ギャップなどを念頭に、5兆~7兆円規模の補正予算が必要との見解を9日のロイターとのインタビューで示している。
浜田氏は「本田氏の意見に賛成だ」と表明。変動相場制の下では「財政はあまり効かない」としながらも、「ゼロ金利まで行ってしまった現状では、いろいろ修正が必要」と指摘。「金融だけでなく、財政の効果も考えなければならない」との見解を示した。
日銀が1月29日に導入を決めたマイナス金利政策については「金融面でみれば住宅ローン金利などが下がっており、セオリー通り効いている」と評価。金融市場は直後こそ株高・円安で反応したが、世界的な市場変動の影響もあり、その後は株安・円高が進行した。
浜田氏は、マイナス金利によって「本来は円売り・株買いになるのが定石」としながらも、「心理状態をかく乱したために、逆の動きになっている」と分析。
日銀は14、15日の日程で金融政策決定会合を開いているが、現状は「日本を逃避先とする心理的、投機的な動きが効果に打ち勝っている」とし、「日銀は、今はさらなる行動はとらないだろう。それが賢明な判断と思う」との見方を示した。
また、足元で1ドル113円台後半で推移している為替市場の動きについては「円が高過ぎるという状態ではない」と指摘。信頼できる専門家によるとドル/円の購買力平価は107円程度とし、自身の考えとして1ドル100─115円は「理論からかけ離れたレベルではない」と語った。
(伊藤純夫 金子かおり)
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