タカタ製部品、交換作業が遅れている理由 なぜ代替品の生産が軌道に乗らないのか
[東京 11日 ロイター] - リコール(回収・無償修理)が増え続けるタカタ<7312.T>製エアバッグ部品は今も交換用の供給が間に合っていない。その理由の1つが業界内で「ハンバーガー」などと呼ばれるインフレーター(ガス発生装置)のメーカーによる設計の違いだ。
交換品の生産を引き受けるスウェーデンのオートリブ<ALV.N>では、自社製をタカタ製の仕様に合わせる修正作業に時間がかかっている。
慢性的な交換品不足
タカタ製エアバッグの異常破裂による死亡者は、日本ではまだ出ていないが、米国を中心に海外で計10人、負傷者も世界で100人を超える。日米欧の主要自動車メーカー10数社がリコールを実施しており、その累計はインフレーターにして5000万個以上。部品交換の時期が車の所有者によって違うため、一気に全てが交換されるわけではないが、その規模はタカタの年間インフレーター販売量を超えるとみられる。
交換用の生産は、タカタのほか、ダイセル<4202.T>、オートリブ、米ZF―TRW<ZFF.UL>などが手掛けるが、慢性的な不足が続いている。
事態に追い打ちをかけるかのように、米当局はタカタに対し、異常破裂の一因とみている火薬原料の硝酸アンモニウムを使うインフレーターの製造販売を2018年末までに段階的に中止するよう要請。自動車各社は開発・生産中の車も含めて硝酸アンモニウム以外を使う他社製品の採用に動き出している。同業他社は、この新規受注にも対応する必要があるため、交換部品の生産はさらに圧迫されそうだ。
エアバッグ業界の米調査会社バリエント・マーケット・リサーチによれば、昨年来、各社は交換用インフレーターの生産能力を拡大しているが、タカタを除く業界全体で今年半ばには月約500万個生産しなければ追いつかなくなる。