ファミリーレストラン事業へ進出、居酒屋勝ち組・ワタミの腹積もり
大手居酒屋チェーンのワタミがファミリーレストラン事業に参入する。11月中旬をメドに、都内の居酒屋「和み亭」を転換して1号店をオープンする。
ファミレスといえば、今や不況業種の代名詞。2007年の道路交通法改正で飲酒運転への罰則が強化された影響で、売り上げが落ちた。昨年はガソリン価格高騰のあおりを受けて、客数が激減した。さらに昨年秋以降、消費者の低価格志向が加速し、ファストフード店などにも顧客を奪われている。なぜ逆風吹き付けるファミレス市場への参入を決めたのか。
居酒屋業態も頭打ち
ファミレスの苦戦と同様に、居酒屋業界も厳しい状況に直面している。
「庄屋」などを展開する大庄は、09年8月期決算でほぼ前年度並みの業績予想を立て、厳しい環境を乗り切るつもりだった。単価を下げて客数を増やす作戦に打って出たが、結局、思うように客数が伸びずに既存店売上高が大きく減少。前期28億円だった営業利益は、9・5億円にまで落ち込む見通しだ。
また、居酒屋チェーンの老舗で「天狗」などを展開するテンアライドも厳しい。09年3月期は2度の下方修正を余儀なくされ、最終赤字に転落した。今期も客数減少から既存店が低迷している。
だが、こうした同業他社と比べると、ワタミの好調は際立つ。今期は増収増益を見込み、第1四半期(4~6月)も好調な滑り出し。居酒屋業態で主力の「坐・和民」と「和民」は、7月に既存店客数が前年同期を上回るなど、外食不況の中で健闘する。居酒屋業態以外にも、海外出店や介護事業へ進出し、成長を果たしてきた。