孫社長がバスケに120億円もつぎ込む理由 野球のホ-クスに次ぐ新たな「顔」になるか
一部で「4年で125億円の大型契約」などと報じられていることを加味すると、負担額はやはり、年間30億円程度なのだろう。ソフトバンクも「公式には開示していないが、訂正をお願いすることはない」(広報室)としている。
孫社長はプロ野球球団「ソフトバンクホークス」の経験から、スポーツの事業運営には自信を持っている。
会見でも、「パリーグの球団は発足以来赤字が続いているが、ホークスは毎年数十億円の利益が出ている。しかも他チームは広告代と称して本体が球団に補填しているが、ホークスは補填なしに黒字。また、ホークスには3軍まであり、若手の育成に力を入れている。運営の仕方を工夫すれば、ポジティブスパイラルになり、(スポーツ事業も)黒字になる可能性は十分あると感じた」とホークスの成果を語った。
ホークスの広告効果は毎年400億~500億円
また、スポーツ事業を手掛ける意義を問われると、「ソフトバンクの携帯電話は東京でのシェアはそれなりだったが、地方では低かった。それが野球に進出すると、みるみる地方でのシェアが拡大し、福岡を中心に200億~300億円の利益を押し上げた。企業名を言わないNHKが、全国放送で毎日『ソフトバンクホークス』と言ってくれる。その広告効果は毎年400億~500億円ある」と説明した。
会見では元サッカー選手の前園真聖氏もフジテレビのレポーターとして質問。「ソフトバンクはコマーシャルが上手だから、バスケの広告もぜひお願いしたい」と呼び掛けると、孫社長は「やりましょう」と即答。川淵氏も「いい質問だね」と持ち上げていた。
なぜ孫社長はバスケットボールにかけるのだろうか。100億円超のスポンサーは、国内のプロスポーツにおいてもほとんど例がない。勝算なくしてこれほどの金額を投じるほど、孫社長にバスケットボールへの思い入れがあるわけでもない。野球参入の頃と違い、ソフトバンクを知らない者のほうが少ないくらい、ソフトバンクの知名度はかなり高い。
バスケットボールは米国の3大スポーツ(アメフト、野球、バスケ)の一つ。日本では中高生の競技人口が60万人に迫るのに、プロリーグの存在感はないに等しい。裏を返せば、のびしろが大きいとも言える。そこで、Jリーグを成功させた川淵氏なら、バスケを米国並みの人気スポーツにできると孫社長は踏んだのだろう。
その成功に一枚も二枚も噛むことができたならば、ソフトバンクは尊敬される企業になるという意味で、知名度の質を高めることができる。そんな孫社長の深謀遠慮が見え隠れする。
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