日本をがっかりさせたオバマ政権の原子力発電“熱”

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日本政府も民間企業もオバマ政権に、あることで大きな期待を寄せていた。それは米国の原子力発電政策が再び積極化して、日米の原子力の平和利用に関する協力関係が大きく発展するという期待だ。しかし今のところ、低炭素社会を目指すオバマ政権ではあるものの、その手段として原子力発電に高い優先順位を置いてはいないようで、原子力技術で秀でた日本を落胆させている。

米国の原子力発電業界は、1979年のスリーマイル島事故以降、すっかりしぼんでしまっていたが、ブッシュ政権になってこれを見直す機運が出てきていた。米国は電気の20%を原子力発電に頼り、世界にある436の原子炉のうち、104の原子炉が米国に存在する。ブッシュ時代に、エネルギー業界は26もの原子炉建設の申請をしていた。

しかし、オバマ政権の優先事項は原子力発電ではなく、風力や太陽光発電にある。オバマ政権は反原発の姿勢をとってはいないものの、ブッシュ時代ほどには原子力発電の振興に熱心ではないのだ。

これまでのところ、原子力発電に関わる大きな動きと言えば、ネバダ州の原子力廃棄物処理場の建設を中止するという決定だ。ここは米国の核廃棄物の貯蔵センターの中核となるはずだった。米国では原子力発電所がそれぞれに核廃棄物の貯蔵施設を持っていたが、施設が不足しており、さらにそのように拡散した貯蔵状況ではテロの対象にもなりやすく、不安視されていた。

今回、急遽、この計画が中止され、ホワイトハウスやエネルギー省から充分な説明のないことは、米国の原子力産業を激怒させている。

オバマ大統領はイリノイ州選出の上院議員だったが、イリノイ州は米国の原子力発電を主導するエクセロン社の本拠地でもある。そうしたことから、いずれオバマ政権が地球温暖化に対処する主要な政策を打ち出せば、それに続いて原子力政策にも力が入るのだという楽観的な見方もある。しばらくの間、日本の原子力関係者は、原子力発電の日米協力を期待しながら、やきもきする毎日となりそうだ。
(ピーター・エニス =東洋経済オンライン)

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