皮肉にも自民の「負けすぎ」困る2大政党制

皮肉にも自民の「負けすぎ」困る2大政党制

塩田潮

 注目の「政権選択総選挙」まで残り2週間余となった。
 1946年11月の現憲法公布後、過去22回の総選挙で、選挙結果による与野党交代は、片山内閣誕生の47年と細川内閣誕生の93年の2回だけである。本来、総選挙はいつも政権選択選挙のはずだが、ほとんどの場合、政権交代の現実的可能性がなかったため、政権選択は選挙の焦点にならなかった。

 もし今回、政権交代となれば、与党側は衆参で過半数を握り、ねじれは解消になる。次の総選挙まで短くても約3年は民主党政権が続くから、自民党で自壊が始まり、2大政党政治の構図が崩れて民主党一党支配になりかねないと予想する向きもある。
 一方、民主党中心政権ができても、民主・社会・国民新の3党連立は呉越同舟、同床異夢だから長持ちせず、結局、自民、公明両党も含めて、大政界再編劇が始まるという見立ても有力だ。

 展開は総選挙での各党の獲得議席次第だが、「政権選択」の一大決戦といわれる今回の総選挙は、実はこれから始まる長編の政治変革劇の幕開けにすぎない。天下分け目の戦いには違いないが、合戦の緒戦である。来年夏に参院選が控えているが、ここで自公両党が現有よりも17多い77議席を獲得すれば、民主党政権下で新しいねじれが生まれる。07年参院選以降の民主党を手本にして、その状況をうまく活用すれば、次々期総選挙での政権再奪取の展望も開けてくる。77議席は07年よりも33も上積みが必要だが、01年並みの大勝なら手が届く。もし民主党政権1年目が、未経験・未熟によるもたつき、鳩山代表の虚偽献金問題や指導力欠如などで、支持率低迷となれば、来年の参院選はどう転ぶかわからなくなる。
 いま重要なのは、自民党は2週間後の総選挙で仮に野党に転落となっても、「負けすぎ」とならないことだ。2大政党による政権交代という議院内閣制の醍醐味を国民が実感するには、自民党が2大政党の一翼を担う大政党として生命力を保持することが必要である。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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