「みんなの党」など新勢力は起爆剤となりうるか?!

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「みんなの党」など新勢力は起爆剤となりうるか?!

塩田潮

 8月8日、やっと渡辺新党「みんなの党」が旗揚げした。一大決戦の総選挙を前にして、自公与党、連立を目指す民主・社民・国民新・新党日本のグループ、それに共産党という既存政党とは別に、「新しい極」をうかがう動きが活発だ。ほかに平沼元経産相のグループ、鳩山邦夫前総務相とその仲間、橋本前高知県知事らの動向が注目を集めている。
 とはいえ、人々の関心は2大政党の“死闘”に集中し、どのグループも埋没の危険性が大きい。選挙制度からいっても、不利は否めない。むしろ勝負は選挙後と踏んでいるのだろう。総選挙を戦い抜き、選挙後に政界再編が始まる展開を待ち望んでいると見られる。

 選挙後、与野党の議席が伯仲し、不安定政権が誕生すれば、すぐに出番到来だ。自公政権続投の場合も、衆参ねじれは続くから、与野党を巻き込んだ政界再編が始まる可能性がある。民主党中心政権なら、ねじれ解消で安定政権となりそうだが、野党転落の自民党で自壊が始まり、それが原因で、民主党も巻き込んで、一大政界再編に発展するかもしれない。「新しい極」の各グループは以上のような想定で「大激動」に期待を寄せる。
 実際はそうならない確率は大きいが、仮に「大激動」となったとして、「新しい極」は新時代を切り開く先導役、牽引車となり得るかどうか。2000年以後、保守党(00年)、保守新党(02年)、国民新党(05年)、新党日本(同)、改革クラブ(08年)が旗揚げしたが、いままでのところ、政治大変革の起爆剤となった党は見当たらない。

 リーダーのパワー不足という問題もある。だが、2大政党政治の醍醐味を一度味わってみたいという多くの国民の要求を超えるだけの魅力と実力を合わせ持った「新しい極」が浮上してこなかったのが最大の原因だ。
 「みんなの党」をはじめとする新勢力は、起爆剤となるだけのパワーを備えているかどうか。残念ながら、期待は大きいとはいえない。 (写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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