不倫を経験した20代後半女性のリアリズム 東京の「婚活事情」最前線<10>

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「30歳を目前にして、その時やっと目が覚めたんです。彼にとって私はただの愛人だったこと。最高だと思ってた関係は、ただのセカンドの特権だったこと。でも、後悔はしてません。むしろ男という生き物をよく学べて、いい勉強代だったと思ってます。男が女とは違う生き物だって理解したら、後はもう簡単でした」

何かを悟った理恵子はその後スッパリと不倫関係は終わらせ、その1年後に同僚である聡と結婚した。

特に結婚願望が強いわけでなかったが、不倫を終えた後に欲しくなったものは結局、家族という名の「味方」だった。結婚という明確なゴールを定めた理恵子は、無駄な感情を一切捨てた。

てっとり早く男を結婚に仕向ける術とは?

「男の人って大概、感情的になる女と慣れ合いを嫌う。それで女に自分の理想を押し付けて非日常を好む。しかも、家庭的な面も求めるんですよね。馬鹿馬鹿しいけど、でも違う生き物なんだから反発したって仕方ないんです。私は敢えてどちらも提供してあげる。それで結婚というゴールに女が上手く誘導すればいいだけの話」

不倫生活で得た男の生態の知識と、これからの時間は無駄にはしない、というのが彼女のモットーだった。あの手この手と手に入らない男を何年も誘惑し続けていたのだから、同年代の男を転がして結婚に誘導するのは難しいことではなかったという。

以前は避けていたが、高級取りの理恵子に見合う相手を選ぶなら結局同業の男がてっとり早い。加えて、どうせならあの彼と同じような道に進みそうな優秀な男がいい。聡の若さと品のいい外見は、彼への当てつけにもなった。

「聡は海外育ちのせいか、変に悪遊びするタイプの男でもなかったし最初から好感はありました。元カノにこっぴどく振られて傷心だったらしく“もう自分のことばかりの人生には疲れたから、次のステップに進みたい”なんてよく言っていて、タイミングもちょうど良かった。仕事も理解し合えるし、彼にとっても悪くないディールだと思います。多少プライドが高いところもあるけど、そこは似た者同士ですし」

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