不倫を経験した20代後半女性のリアリズム 東京の「婚活事情」最前線<10>

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多忙な職種で睡眠時間は普通の女の半分以下と言っても過言ではないのに、肌は艶々と輝き、身体の隅々まで手入れを怠っていないことは一目で分かる。

「24歳から丸5年。ほとんど他の男の人は目に入らなかった」

その相手とは、会社の忘年会の二次会でたまたま知り合ったという。元々は理恵子の同業他社出身で、後に自分で会社を立ち上げ成功し、日本と海外を行ったり来たりする生活をしているという、金融業界の有名人だった。

理恵子いわく、元々高給取りのイメージが強い金融業界の中でも、特に仕事ができる男たちの一部は、独立し投資会社などを立ち上げさらに財を築いていくという。

「出会う前から彼の噂も何度か聞いて知ってたの。私の会社の社長とも仲が良くて、独立しなければ彼が社長だった、とかね」

理恵子は自分がかなりのエリートであることで、当然ながら昔から男を見る目は厳しく理想も高かった。そんな中、相手の男は仕事上の尊敬も相まって彼女の眼鏡にかなったのだろう。

「金融の男たちなんてどうしようもない遊び人が多いから、普段だったら深入りしなかったんだけど。彼は紳士的で感じのいい人で、それにこの業界では珍しい愛妻家だっていう話も聞いてたから警戒心なく仲良くなっちゃったの。大先輩に仕事の相談とか、あわよくば何かいい情報が聞けたらいいなって下心も少しあって」

有名人のプライベートを独占することに興奮を覚えた

同年代の男たちが幼く見えてしまう一方、この年上の男と一緒にいる時間は心地よかった。仕事面での憧れや、20代の男にはないスマートな振る舞いや落ち着きも含めどんどん惹かれてしまった。気づいたときはもう手遅れというのは、不倫によくあるパターンだ。

「24歳でまだ若くて、あの頃は彼が既婚者だってことは不思議なくらい気にならなかったの。そんなことよりも、金融業界の有名人を私が実は独占してるっていう事実にすごく舞い上がってた」

相手の男は富豪であったし、それも彼の魅力の一部であったことは否定できない。だが、理恵子は彼に貢がせたり、妻からそのポジションを奪いたいなどはほとんど考えたことがなかったという。

この業界でも桁違いに稼ぐ成功者だというこの男が、多くの美女が集うこの東京で特に自分を選び可愛がっているという事実が彼女の自尊心を満たし、自分の上司たちでさえ尊敬する男を秘密裏に独占することに興奮を覚えた。

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