EUは極右や難民もたらすプーチンに鉄槌を ロシアの熊を止めねば、欧州安定は望めない

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プーチンが停戦支持を表明しているその瞬間にも、ロシアは爆弾を落としている。ウクライナにおけるロシア政府のこれまでの言動にも見て取れるように、彼の言葉を額面通りに取ることはできない。米国が大統領選に忙しい合間に欧州の指導者たちは取り残され、ロシアの熊はドアをガリガリかじって侵入しようとしている。早急に行動すべき時だ。

 欧州の指導者がやるべきことは明確である。第1は各国の極右政党に対するロシアの資金提供を永久に遮断すること。必要であれば米中央情報局(CIA)に支援を仰いでもよい。

第2に、シリア和平に向けた国連安保理決議ではすべての当事者に、民間人への無差別攻撃の停止を義務づけている。ロシアがこの決議を守れない場合、EUはより広範な対ロ経済制裁を発動すべきだ。

第3に、EUはアレッポなど紛争地域からの難民を受け入れる安全地域を、トルコとシリアとの国境地帯に設置するべきだ。

プーチンに思い知らせよう

最後に、難民急増に対する集団的な取り組みが不可欠だ。緊急対応の一環として、EUが統括する国境警備隊や沿岸警備隊を設立し、ギリシャの国境管理支援や人命救助などに従事させねばならない。

同時にEUは、トルコやヨルダンなどの難民キャンプの状況改善のため資金を投じなければならない。また、EUへの難民申請を、彼らが現在居住している国から直接行えるようにすることでも合意せねばならない。

米著名投資家のジョージ・ソロス氏は「EUの安定に対する最大の脅威はロシアだ」と主張したが、それは正しい。EUは危機に屈服してはいけない。今こそプーチン氏に自身の立場を思い知らせるべきである。

週刊東洋経済3月12日号

ヒー・フェルホフスタット ベルギー元首相

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ヒー・フェルホフスタット / Guy Verhofstadt

1953年生まれ。99年から08年までベルギー首相在任。現在、欧州議会議員、欧州自由民主同盟代表を務める

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