上司が「お気楽」なほど、組織は活性化する 優れたリーダーはゆるい管理で部下を伸ばす

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宇貝の悩み③:一生懸命やったのに

宇貝:私の頭の中に「?」マークがいっぱいになってきました。でも私なりに一生懸命にやっているんですが。部下のことも考えてますよ。

中嶋:そうだろうね。君のことだから、誠実に課長職を務めていると思うよ。

宇貝:わかっていただけて嬉しいです。

中嶋:でもね、誠実さや真面目さは時として考えの幅を狭くするからね。要注意だよ。自分のおかれている環境が見えなくなるからね。このカフェが混んできて、場所を譲るべき雰囲気になっていても、話に夢中の君は気づいていないだろう。

宇貝:気づきませんでした(汗)。もう少しお話ししたいので、場所を変えませんか。

注意力をバランスよく使おう

解説Ⅲ 鳥の目と虫の目

われわれは、目の前のことに意識を集中すると、まわりのことが見えなくなります。有限の注意力をバランスよく使えず、あることに過剰使用してしまうのです。ひとつ失敗をすると、それが気になって、次の作業に集中できず、そこでも失敗を犯す。失敗が次の失敗を生み出します。

注意力をバランスよく使うため、注意の焦点を意識的に変える努力が必要です。ある事実を正面から凝視する虫の視点(=細かいだけの管理)とそれを遠くから眺望する鳥の視点(ゆるいが鋭い管理)、2つの視点を意識的に切り替えることができれば、問題の解決策をより豊かに考えることができます。

時として真面目さが仇になるのは、視点を切り替えることができなくなっているわけです。ゆるい管理によって、過剰な真面目の落とし穴に嵌らないことが、鳥の目と虫の目の使い分けにつながります。

中嶋 哲夫 人事教育コンサルタント、MBO実践支援センター代表

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なかしま てつお / Nakashima Tetsuo

1948年生まれ。京都大学経済学部卒業。20年間の企業生活(鐘淵化学工業、現・カネカ)において、企業内ベンチャー、営業、人事の業務を体験。人事部門では、社員教育と人事企画を担当し、目標管理制度の運用に従事。仕事を通じて学ぶ目標管理に共鳴し、その考え方と実践ノウハウを現場管理者とともに開発。1991年に退社し、人事教育コンサルタント。産労総合研究所MBO実践研究所顧問を務めた後、MBO実践支援センターを設立。代表として良い職場づくりを目指す人事担当者と管理者を指導する。数多くの企業において、目標管理を活かした職場づくりを指導している。この間、大阪大学大学院国際公共政策研究科に進み、人事評価データや賃金データの統計解析を研究。2007年に博士(国際公共政策)。現在、大手前大学、大阪商業大学大学院にて非常勤講師を務める。著書に、『岐路に立ったら読む ライフマネジメント』(共著、中央経済社)、『目標管理ハンドブック』(共著、経営書院)、『人事の経済分析』『人事の統計分析』(ともに共編著、ミネルヴァ書房)など。

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