日本の行政は商業地を起点に街をつくれない 団地とショッピングモール開発は何が違うか

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今日のために、いまはなき建築雑誌『プロセスアーキテクチュア』の、ジャーディの特集号を読み返してきました。ジャーディは商業施設をつくるとかショッピングモールをつくるという表現を一切使わず、街をつくると言っている。街路をいかに魅力的につくるかが重要だというわけです。古い手法かもしれないけれど、彼は最初に魅力的な動線を描いて、残ったところに建物を建てる。ぼくも授業でこういうプロセスを踏みました。

雑誌にはジャーディがつくったキャナルシティの粘土のモデルが掲載されていますが、このやり方にその手法がよく表れています。ふつう建築では模型をつくりますよね。模型を組み立てるのは建築をつくる行為です。それに対して粘土を削って形態をつくっていくやり方は、それとはまったく逆の視点になる。それが重要だというわけです。

:クリストファー・アレグザンダーのパターン・ランゲージにも近いですね。実際に人人が行き来しているところを重ねて描いていくと、どこに道路をつくるのが最適か見えてくる。『思想地図β』vol・1は、前半ではショッピングモールを、後半ではパターンを特集したので、符合が興味深い。

亀戸の街としての魅力は工場にあった

大山:ジャーディとアレグザンダー、それとジェイン・ジェイコブズの三人というのは、それぞれは違う方向性で活動していたのだけれど、方法論としては共通しているところが大きかったのかもしれません。

ジャーディはイタリアのモチーフを好む建築家でした。あるとき、イタリアの田舎町でインスピレーションを受けたと書いています。彼はその田舎町の魅力を表現するエレメントをとにかくたくさん収集して、ショッピングモールをつくるときにはそれを再現しようとしました。

ぼくも授業の課題で同じように、亀戸の周辺を歩き回って、この街の魅力はなんだろうとまとめたことがあります。そこで出会ったのが工場なんです。そこで工場はかっこいいじゃないかと気づき、いまに至るわけです。課題の趣旨とはずいぶん逸れてしまいましたけど。結局、ぼくが工場と出会ったのはジャーディの手法によってだった。今日のイベントの準備をしているうちにそれに気づいて、ちょっと衝撃を受けました。

:大山さんはじつはジャーディの孫弟子であり、いつの間にか彼の手法に強く影響されていたと。

大山:『プロセスアーキテクチュア』を読むと、最初に紹介されているのがホートンプラザで、次がロサンゼルスオリンピックの会場デザインです。彼はオリンピックを機会に、ショッピングモールの文法でロサンゼルスの再開発を手がけた。『福島第一原発観光地化計画』には2020年の東京オリンピックをきっかけに街をつくりなおそうという提案がありますが、これが先取りされているんです。これはもっと評価されていい。

:ジャーディについては、建築家もあまり言及していない。

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