アメリカで「タカタ批判」が高まっている理由 自動車各社との支援協議は難航も
[東京 29日 ロイター] - エアバッグ異常破裂問題に揺れるタカタ<7312.T>は自動車メーカー各社に原因調査の中間報告を説明し、リコール(回収・無償修理)費用の分担や経営支援の協議に向けて動き出した。だが、米国ではリコール拡大への動きが再び活発化しており、費用は一段と膨らむ恐れがある。
タカタは早ければ4月中に協議をまとめて5月の本決算に間に合わせたい考えだが、事故の原因や責任の所在はまだ不明瞭で、自動車各社は支援には慎重な姿勢を崩していない。
最大9000万個の「時限爆弾」
タカタ製エアバッグの異常破裂により、これまで世界で10人が死亡、100人以上が負傷しており、世界の主要自動車メーカー14社がリコールを日米欧などで実施。エアバッグを膨らませるインフレーターのリコール数は5000万個以上に及んでいる。リコールは米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が強く要請し、自動車各社が原因調査や予防的措置としても進めてきた。
現時点のリコール費用はインフレータ―1個当たり8000円で計算すると4000億円超に上り、自動車各社がほぼ肩代わりしている。タカタの純資産は昨年12月末で約1451億円。タカタは工程作業上のミスなど自社の責任が明確な一部のリコール以外は合理的に見積もれないとして多くの費用計上を見送っている。だが、監査法人の判断で引き当てを迫られたり、自動車各社に全額請求されれば債務超過になる恐れがある。
しかも、ここにきてその費用がさらに膨らむ恐れが出てきた。昨年12月には米フォード・モーター<F.N>の車で初の死者が出て、米国での死者が9人になった。24日には14年の全米リコール実施を促した米上院議員2人が欠陥が疑われるタカタ製エアバッグを「作動中の時限爆弾」と表現し、NHTSAに対して検討中のリコールを急ぐようあらためて要請したからだ。