山口絵理子・マザーハウス代表取締役--カワイイが変える途上国、27歳「劇場経営」の突破力【上】
入学したら、猛烈な学力コンプレックスで一時、うつ状態に陥ったが、それでも、名門ゼミ、竹中平蔵研究会(あの竹中元大臣のゼミ)の門をたたいていた。ゼミの試験官として山口を面接したのが、現在、マザーハウス副社長の山崎大祐である。
「総理大臣になって教育を変えたい」。山口は山崎にそう言った。ロジカルじゃないけど、なんか、面白いんじゃないの。で、ゼミも合格。
竹中ゼミで山口は開発経済学に出合い、途上国問題に目覚めた。「日本の教育はおかしい。でも、もっと本質的に問題なのは、発展途上国のほう。人には役割分担がある。私は学校に行けないつらさをわかっているつもり。途上国の子供たちのために、やれることをやろう」。
大学4年で南米向けの国際援助機関、米州開発銀行のインターンに採用された。期待に胸膨らませ、憧れのワシントンに赴任してガックリきた。職員たちの最大の関心は、いかに組織内の階段を上り詰めるか。“内部政治”に忙しく、ベテラン職員でさえ、肝心の現地にはほとんど足を運ばない。「これって、本当に途上国のためになっているの」。
米州開発銀行を離れ、自分が「現場」に行こう。だが、どこへ。パソコンの検索に「アジア 最貧国」と打ち込んだ。画面に「バングラデシュ」という文字が浮かび上がった。=敬称略=(中に続く)
(撮影:梅谷秀司)
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