デブン・シャーマ スタンダード&プアーズ社長--格付けの独立性を強化、規制は国際的調和が重要


 また、当社の格付けの順法性とガバナンスに関し、定期的に外部の第三者機関による検査を実施し、格付けの独立性を確保しているかを公表する。こうしたチェック&バランスの仕組みを強化した。

--アナリストのローテーション制度を始めたというが。

同じ発行体の分析を、5年を超えて担当しないというものだ。業界は同じでもいい。昨年から世界的に導入し始めた。同時に、アナリストに対する教育研修制度も強化した。格付けの順法性を徹底するとともに、幅広い発行体に対する知識や、最新の金融技術についての知識を深めるためだ。また最近、米国のビジネスクールと協力してアナリストの認証試験制度を導入した。格付け委員会のメンバーになるには、この試験をパスする必要がある。

--アナリストが格付け対象の発行体に転職するケースもある。

それがいい印象を与えないのは事実だろう。その場合は、その発行体を担当していたアナリストの格付け履歴を全部調べ、不適切なことがなかったかを確認することにした。もしあれば、その格付けを見直す。

--アナリスト報酬の仕組みは。

格付けしている会社の数や、格付けを変更した数には連動しない。独自のメトリクス(評価基準)に基づく格付けのパフォーマンス、つまり分析の質がどうだったか、分析のプロセスがどうだったかが重要で、マネジャーが各アナリストを評価する。近年、それをより徹底している。

--S&Pは、NY市場上場の出版社マグロウヒルの子会社だが、最も重視するのは誰の利益か。

どんな企業も組織も、真の目的に忠実にならねばならない。目的に反した行動をとれば、成功は勝ち取れない。当社の最大の目的は「投資家のニーズに応える」こと。これに向かって努力しなければ、発展はない。当社が創業150年の歴史を刻んでいるのも、こうした明確な目的に対する評価があるからこそだ。教訓に学び、投資家の声を聞き、新たな改革を進めている。これが親会社の利益にもつながるはずだ。

(聞き手:中村 稔 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

Deven Sharma
インドのバーラ工科大卒。米ウィンスコンシン大、オハイオ州立大で経営学修士、博士号取得。ブーズ・アレン・ハミルトンのパートナーを経て、2002年に親会社で教育・出版事業などを手掛ける米マグロウヒルに入社。07年S&Pに副社長として移籍。07年8月に社長就任。

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