リップル「帝国」の黄昏、反乱と破産法11条

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 07年9月、ユーシンの取締役会は僅差で竹辺氏を解任。ただ、このときはRHJも解任を事後了承し、20%の出資関係は維持された。しかし、今回、ユーシンが竹辺氏の訴訟に踏み切り、RHJとの関係はあらためて緊迫することになる。

訴追理由は、広島の新工場用地取得にかかわる善管注意義務違反(騒音規制の存在を看過していた)など竹辺氏個人に対するものだが、ユーシン側は暗にRHJの責任も問うている。竹辺氏の解任後、社長に復帰した創業家出身の田邊耕二社長が言う。「RHJを提訴するつもりはない。彼らも、訴訟を起こされたら不利。どうイグジット(出口)を探るか。話し合いで解決できる」。ユーシンが求めるのは、RHJの持ち株の売却、つまり資本関係の解消だ。

「自社株買いや第三者との持ち合いなど、市場に迷惑をかけず、徐々に消化する方策を考える」と田邊社長。RHJの広報担当者は戸惑いを隠さない。「ユーシンは上場企業。われわれの言動が市場に影響を与える。コメントは差し控えたい。ここは我慢のしどころと思う」。

まだあきらめない総合メーカーの夢

RHJのつまずきはユーシンだけではない。ユーシン第2の“反乱”の1カ月前、米国の鋳造品メーカー、メタルダイン(メ社)が米連邦破産法11条の適用を申請した。コリンズ「帝国」で初めての倒産である。

メ社は07年初頭、旭テックを通して買収した。当時のメ社の売り上げは旭テックの3倍の19億ドル。小が大をのむ大合併だが、タイミングが悪すぎた。買収したその年の夏にサブプライム・バブルが破裂。

ホンダ副社長、セガ社長を務め、コリンズ氏に乞われてメ社の“親”の旭テック社長に就任した入交(いりまじり)昭一郎氏が言う。「市場が悪化し、メ社が危機に陥るたびに議論したが、旭テックとしては何もできなかった」。

日本の銀行団が債務の膨張を警戒し、旭テックが使えるのは“スルー”のカネだけ(メ社に対しては、RHJの増資によって旭テックに注入した資金のみを使う)という縛りをかけていたからだ。

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