10年ぶり大刷新!新しいTOEICの傾向と対策 「使える英語」を試すことに重点

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unbelievable = 信じられない、と単語の定義を覚えるだけでは、実践としては不十分。意味を知った上で、その単語がどのように使われているかを理解する必要があるのです。このように、新・TOEICでは表面的ではなく、実践的な語彙力がより求められるようになります。

単なる語訳ではなく単語の“本質”をつかむ

『Storyで覚える! TOEICテスト エッセンシャル英単語』(山内勇樹著、かんき出版)。上の画像をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

英単語でも、仏単語でも、独単語でも、どの言語でもそうですが、英単語の本質は? ということについて少し考えてみましょう。

「star (発音:スター)」という英単語を聞いて何が頭に浮かんだでしょうか? 「星」という漢字(文字)が思い浮かんだのであればそれは本質ではありません。それはただの「訳」のひとつです。

star が根本的に表すものは「高いところで光り輝くもの」。それが状況によっては夜空に輝く「星」と訳され、「天体」と訳され、ときには人間に対しても「スター」と訳されます。「文字」ではなくこういった“実像”や“概念”が頭に思い浮かんだなら、それは本質を捉えているといえるでしょう。

TOEICとは関係ない話をしているように感じられるかもしれませんが、実は関係大アリです。単語レベルでも、文章レベルでも、文書レベルでも、いちいち日本語訳をしているようでは、本質的なテスト対策・受験にはならないのです。

こんなに勉強しているのに読むスピードが上がらない、聴き取れた気がしてもいまいち意味がわかっていない……という方が非常に多いですが、常に「文字」の「星」を思い浮かべている人はこうなりやすいのです。増えた単語力が点数に結びつきません。

もちろん、いきなりイメージだけで考えろ、と言われてもそれは無理な話。最初は「star= (文字の)星」でも構いません。ただし、何度かこの単語を読んだり聞いたりしているうちに、文字ではなく、「高いところで光り輝くもの」イメージが頭に浮かぶようになるのがベストです。

このように、本質的な概念・意味=「エッセンス」を理解すると、TOEICのスコアはドンドン伸びていきます。これは小手先のテクニックが上がったといった話ではなく、英語力そのものが向上したからです。ある英単語を見たとき、聞いたときに、その英単語は日本語では何と言うのか? というのはわからなくても構いません。「こんな感じ」と自分の頭の中でイメージできることが必要で、それで十分です。

私たちが覚えたいのは 「エッセンシャル (本質的)な英単語」です。どういう訳し方をするかではなく、根本的にどのようなイメージの単語なのか? これを追求し、理解することが、英語力の向上およびTOEICのスコアアップには重要なのです。訳は状況によっていかようにも変化しますが、エッセンス(本質)は変わらずそこにあります(star の例を思い出してください)。ぜひ、TOEICスコアアップのために取り組まれる際に、訳し方ではなく、本来の本質の意味を追求するアプローチで進めていただければと思います。

(構成:山岸美夕紀)

山内 勇樹 Sapiens Sapiens代表取締役・最高責任講師

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やまうち ゆうき

1980年、長崎県生まれ広島育ち。UCLA(カルフォルニア大学ロサンゼルス校)卒。
高校時代はバスケットボール部に所属し、全国大会出場経験を持つ。卒業後はバスケットボールを続けるために単身渡米。帰国後、英語を独学で身に着けた経験を活かし、語学教育・留学サポートを行う株式会社Sapiens Sapiensを設立する。
設立後は、人材教育・育成のための英語学習Eラーニングシステム「Buffet」などを開発。10年で1万人の受講生を指導してきた。また、MBA/EMBA派遣留学サポートも行い、グローバルリーダーの育成も手掛けている。独自のTOEIC指導法には定評があり、多くの受講生のスコアを3か月の指導で大幅にアップさせている。
TOEICテスト 990点満点。TOEICテスト SW(Speaking & Writing) 400点満点(日本で1位 (タイ))。

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