スマホ「2年契約」の呪縛は、まだ解かれない 解約期間を2カ月に延長したところで不十分

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「無効だ」と訴えた場合は、認められるのだろうか。

「更新後の契約解除料については、裁判も起きています。解除の影響で事業者に発生する『平均的損害』を超える解約金は無効であるという消費者契約法9条などを根拠に争われているのです。

しかし、各携帯キャリアの定める解約金の額が、解除の影響で各携帯キャリアに発生する『平均的損害』よりも低いとして、無効にはなっていません」

延長しないよりはマシだが……

今の段階では、無効にすることは難しそうだ。では、各携帯キャリアが、更新月を2カ月に延長することについては、どう考えたらいいだろうか。

「期間の延長は、しないよりはマシでしょうが、根本的な解決には全くなっていません。変化の激しい電気通信の分野においては、各社の提供するサービスについて、利用者が内容や価格を吟味し、より優れたサービスを適宜選択できることが重要です。

しかしながら、2年間の期間拘束が自動更新により繰り返され、長期間にわたって利用者による解約が制限されるために、利用者による適宜の選択ができず、その結果、通信事業者による適正な競争も期待できなくなります。

したがって、利用者にとって実質的な選択肢となり得るような料金水準による期間拘束のないプランや、期間拘束が自動更新しないプランを設け、利用者によりよいプランを選択してもらうといった抜本的な対応が必要だと思います」

上田弁護士はこのように話していた。

上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行うとともに、中小企業診断士として企業の経営コンサルタント業務も行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所

 

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