EU離脱か残留か、イギリス国民投票の衝撃度

離脱のリスクを過小評価してはならない

欧州首脳会議後で合意後、EU残留への支持を呼びかけたキャメロン首相(写真:The European Union)

また、英国が離脱を選択した場合、EUの一体性に疑問が持たれ、ユーロ圏を始めとしたEU諸国にも金融市場の動揺が広がろう。この間、大幅なポンド安進行とBOE(イングランド銀行)が金融緩和に転じることが景気の下支え要因となるだろうが、英国景気が後退局面入りすることは避けられないと考える。

離脱時の中長期的な影響は、離脱後の英国が他のEU諸国との間で新たな関税同盟を結ぶかどうかとその内容、金融業がEU離脱後の英国に残留するかどうかで、大きく異なってくる。

仮に英国がEUとの間で関税面でのメリットを失う場合、英国をEUの進出拠点と考える多国籍企業の多くは、他のEU諸国に進出先を移転することが予想される。また、EUの単一免許制度の適用外となれば、国際的な業務展開をする金融業は、英国での業務の一部をEUに移管する可能性がある。

シティがEUの金融センターとしての地位を失えば、金融業のみならず周辺サービス業を含めた英国経済の地盤沈下は避けられない。この場合、雇用や輸出でプレゼンスの高い外資系企業の空洞化、さらには人材のハブとしての魅力低下も、中長期的に英国経済の活力を削いでしまう。

加えて、親EU色の強いスコットランドやウェールズが英国から離脱してEUに加盟する動きを強める恐れがあり、英国分裂のリスクを高めかねない。英国離脱による余波はEU体制にとっても打撃となる。残された国のEU予算の拠出負担が増すことや、ドイツやフランスの発言力が増すことで、EUに対する不満が一段と増すことも考えられる。

離脱票が上回った場合のその後の道筋

なお、国民投票で離脱票が上回った場合、英国政府は必要な国内上の立法作業を経て、EU首脳会議に対して正式に離脱の意向を伝える。離脱の手続きや離脱後のEU関係のあり方については、英国と他のEU加盟国との間で協議し、合意する必要がある。

当該合意は、英国を除くEU首脳による特定多数決(大まかな人口構成に応じて予め加盟国に割り当てられた票数に基づく多数決)で決定される。離脱合意が実現するか、英国政府による離脱の意向から2年以内の何れか早い時期に、英国に対するEU法の効力適用が停止する。

ただし、英国を除くEU首脳が全会一致で合意した場合に限り、法適用の停止が延期できる。したがって、離脱投票後に英国はEU諸国との間で離脱後のEU関係のあり方について協議を開始することになる。その協議を巡る不透明感が長期間にわたって英国の経済活動の重石となる。

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