再出発する製紙業界中位、特種東海が命運託す「カーボンナノペーパー」

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薄く軽く、機能も秀でる高コスト問題もクリア

カーボンナノチューブは、1991年に発見された炭素原子による微細なチューブ型の新素材だ。ナノ(100万分の1ミリメートル)レベルの微小さや導電性などの特性に優れ、医薬品材料や半導体など電子材料への活用に期待が集まっている。が、現時点では1キログラム数万円と値が張る。

特種製紙も同素材の電磁波シールドの機能に着目し、北海道大学と共同研究に取り組んできた。紙の表面にコーティングするのではなく、紙に抄き込むことができれば、使用量も減らせ、実用化が可能になる。

ただ、カーボンナノチューブには凝集する性質があり、均一に抄き込むことが難しい。

その問題解決に向け試行錯誤を繰り返した結果、同社はついに水系の液体に分散させ木質繊維に定着させる技術を開発した。この方法なら繊維一本一本にカーボンナノチューブを均一に分散定着でき、紙の厚さ分の3次元でカーボンナノチューブ網を構成できる。表面に塗布するだけのコーティングと比べ3分の1以下の量で、同程度以上の導電性や電磁波シールドの機能を保てる。しかも強度やしなやかさといった紙の特性は失わず、取り扱いも簡単。表面塗工や含浸加工なども可能だ。

フィルムに磁性体を塗布した電磁波シールド材料と比べ、3分の1程度の厚みで、より広い周波数帯での電磁波遮断能力がある。またカーボンナノペーパーは電磁波を吸収する能力が非常に高く、0・14ミリメートルという薄さは、パソコンや携帯電話などのノイズ干渉、電磁波の遮断・吸収に適している。軽量な点は航空機やETC(自動料金収受システム)での大型シールド材としても有望だ。

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