大量閉店で消えたマック、次に打つ手は何か 都内から続々とマクドナルドが姿を消した
影響は甚大だ。東京23区内に限っても、2012年におよそ300店あった店舗数は、今年2月中旬時点で約250店舗まで減少した。
数字には、東京スカイツリータウン・ソラマチ店など、出店が30店弱含まれており、閉店は78店に達している。
会社がなりふり構わず閉店を進めている背景には、何より業績の低迷がある。上場する日本マクドナルドHDが2月9日に発表した2015年12月期の本決算は、当期純損失が347億円と創業以来最悪の数字を記録した(右図)。
2014年7月に期限切れの鶏肉を使用していたチキンショックが、2015年1月には異物混入問題が相次いで発覚し、顧客離れは急激に進んでいった。
直営店とフランチャイズ(FC)を合わせたグループの売上高は、ピークだった2010年の5427億円から、2015年に3765億円まで縮小。経営不振に陥ったFCオーナーへの財政支援もあり、現金の流出が続いている。
米マクドナルド本社も日本法人の売却を示唆
業績不振に陥ったマクドナルドにとっては、赤字を垂れ流す店舗を整理し、“出血”を止める以外に打つ手はなかった。が、その代償は大きい。競争が激しい一等地の獲得には莫大な手間とカネがかかっている。
マクドナルドのOBで店舗開発を担当していた松下雅憲氏は、「都心の一等地店からMマークの看板がなくなれば、潜在顧客の記憶から薄れていく」と、存在感の低下を懸念する。
会社側は2016年12月期の業績見通しとして、純利益10億円と急回復を見込んでいる。サラ・カサノバ社長は、「昨年後半から改善傾向にあり、業績に勢いが出始めている。2016年は黒字化を達成する自信がある」と豪語した。
ただ、日本法人株の49.9%を保有する米本社は、1月25日に持ち株の一部売却を検討していると表明。複数の投資ファンドが手を挙げたとされる。たとえ不採算店の整理を進め、業績が改善したとしても、経営の先行きは不透明だ。
外食産業に詳しく、投資ファンドを運営するジェイ・キャピタル・パートナーズの田中博文社長は、「ファンドとしては、最低でも過半数を持てなければ経営権を獲得できず、抜本的な改革はできない」と指摘する。
旗艦店をはじめ続々と閉店する先に、マクドナルドは復活を果たせるのか。
(「週刊東洋経済」2016年2月27日号<22日発売>「核心リポート03」を転載)
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