旗印は電気自動車だが…ゴーン日産、波乱の船出

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株主の深い焦燥

だが、足元ではプリウスやインサイトのような小型ハイブリッド車に押されている。総会ではこの点についても質問が集中した。「5月の国内車販売ランキングに1車種も入っていない。EVの量販体制が整うまでの3年間どうするのか」。この問いには、株主の焦りが凝縮されている。

「ハイブリッド車の市場シェアは、世界的にはたった1%。日本は新車効果もあり6%となったが、米国では2%、欧州では0・2%にすぎない。日本が例外だ」「経済が回復すれば原油価格が1バレル100ドル、150ドルになるかもしれない。そうなればガソリン車よりEVのほうが経済的にも有利」。

危機のさなかに経営放棄は許されないとも語ったゴーン社長。こうした持論に周囲を再び巻き込めるのか。すべてのステークホルダーは、今の閉塞感を打ち砕く熱狂を日産に求めている。

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高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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