旗印は電気自動車だが…ゴーン日産、波乱の船出
「総額25億円の役員報酬は、庶民感情からして高すぎる」。6月23日に開かれた日産自動車の株主総会。会場から出た質問に拍手がどっと湧いた。
「2008年度の役員報酬は、好調だった07年度の実績に基づく。09年度の役員報酬はこの状況が続けば相当減額される」「世界的に見れば同規模の企業と比べて平均的だ」
説明に躍起となったカルロス・ゴーン社長の口からは、大人げない発言も飛び出した。
「人間の力の及ばないこと(経済危機)が起きたのだ。経営陣は無能だったのか? もしそう思うなら私たちの再任に反対すればいい」。
最後は満場の拍手で取締役候補全員が選任されたものの、経営陣は株主から厳しい“洗礼”を受けた形だ。
自動車不況にいまだ回復の兆しが見えない中、日産の09年度は2期連続の最終赤字となる。経営立て直しの核として打ち出したのが電気自動車(EV)で、新型車の発表も約1カ月後に迫っている。
総会終了から11時間後には、米エネルギー省から環境対応車の生産を目的とした低利融資1540億円を受けることも明らかになった。
米テネシー州・スマーナ工場において、12年から10万台超の規模で生産を開始する予定。普及価格帯EVの世界的な販売をもくろむシナリオは、しだいに具体的になってきた。
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