リクルートの七変化--強者を覆うネット時代の内憂外患《広告サバイバル》
同社が広告代理店や出版社と決定的に違うのは、自ら媒体を持ち、その広告枠を自社営業マンが直接販売する点。その媒体も全面広告情報で、広告収入だけで成り立っている。通常、代理店は企業が支払う広告費の一部を手数料として受け取り、出版社はその手数料を除いた分を得る。だが、リクルートは自ら広告枠を直販するため、広告収入をまるまる手にできるのだ。
しかも、リクルート媒体の広告効果はバツグンに高い。同社の情報誌は購入行動を促す「アクション型」。そのため、媒体も「旅行」や「結婚」など万人向けではなく「狭く深く入り込んだ」ニッチなものがほとんどだ。こうした媒体利用者はサービスの購入や利用を具体的に検討しているケースが多く、必然的に広告主の掲載意欲も高くなる。
広告掲載の舞台となる媒体開発も強みの一つ。媒体テーマは就職など人生のイベントや日常生活に関するものが多いが「基本は消費者と広告主が『出会えていないもの』は何かを考える。もっと言えば、消費者がどこに不満を抱いているかを探し出す」と、『とらばーゆ』など14媒体を立ち上げたOBのくらたまなぶ氏。そのために消費者には徹底的なヒアリングを敢行。最初からターゲットを決めて媒体を作るのではなく、どこに不満=ニーズがあるかを探り出して、それを媒体に落とし込み、広告主と引き合わせるのだ。