リクルートの七変化--強者を覆うネット時代の内憂外患《広告サバイバル》

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さらに同社は媒体配布でも独自戦略を追求。過去に広告誌が取次会社に扱ってもらえなかったためだが、自ら駅の売店やコンビニなどに販路を開拓し、そのノウハウが無料誌のラック拠点開発などに生きている。

同社で編集と並ぶ要となるのが、営業部隊。リクルートの媒体はニッチ市場が対象のため、広告主も中小企業や街の飲食店などが多い。そこへ広告枠を売り歩き、年間何千億円にも積み上げるのが営業マンの役目。その営業方法はまさにドブ板方式だ。「飛び込み営業」は一日最低20件、時には100件を超える日もある。商店街回りや、ビル中を回る「ビル営業」など、とにかく広告を求めて駆けずり回る。

ただし、単なるドブ板では非効率。リクルートは営業でも「売れる仕組み作り」が進んでいる。たとえば、『ホットペッパー』。赤字運営だった前身誌では「営業地域担当や広告枠の単価が決まっておらず割引や無料提供などが常態化していた」(当時営業を担当、現在は営業支援会社ベレフェクトの太田彩子社長)が、『ホットペッパー』では広告枠の大きさを画一化、価格も割引なしの一定価格に設定。さらに、広告も1号限りの販売を禁止、最低1年以上の契約にするなど、より効率的な媒体形態や販売手法を追求している。

同時に、リクルート全体でも営業トークのマニュアル化や勉強会などを進め、顧客の問題を解決する提案型営業の確立など「どんな素人でも売れるようなルールや仕組みが出来上がっている」(関係者)という。

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