リクルートの七変化--強者を覆うネット時代の内憂外患《広告サバイバル》

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 それでも、リクルートは多角化のスピードを緩めない。背景にあるのは「現状のままでは10年後にはなくなってしまうかもしれない」(関係者)という強烈な危機意識だ。

「求人事業は昨年前半2割、後半で4割減、直近では5割減くらいになっている。今年度内で底を打てるかどうか……」。5月半ば、2009年3月期決算発表の席で柏木斉社長はリクルートの“窮状”についてこう語った。

確かに前期決算は雇用環境の悪化が直撃。売上高こそ07年12月に買収したスタッフサービスが上乗せしたことで08年3月期比7・7%伸びたが、営業利益は求人広告の不振を受けて同31・8%減に沈んだ(下グラフ参照)。

だが、事業別で見ると減収は人材派遣や求人広告など人材関連事業が中心。反対に不動産や旅行などは小幅ながら伸びるなど、かえってその健闘ぶりが目立つ内容となった。

電通などの広告代理店が総崩れとなる中で、同じ広告を扱うリクルートが底堅いのはなぜなのか。

同社は「広告代理店でもなければ、出版社でもない」(関係者)。が、実態はむしろ、双方の要素を持ち合わせていると言ったほうがわかりやすい。そして、それこそがリクルートの高収益体質の秘密だ。

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