【産業天気図・人材サービス】人材需要の低迷が響き土砂降り状態が続く
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
人材サービス業界の天気は前回3月の「雨」予想から前半はさらに悪化して「土砂降り」、後半多少持ち直すが「雨」模様は続きそうだ。2008年末には主に製造業で相次いだ「派遣切り」が大きく社会問題となったが、目下その状況は変わっておらず、3月に予想したとおり、製造派遣にとどまらず、技術者派遣、事務派遣の各社も苦境にあえいでいる。
業界を驚かせたのが、技術者派遣最大手のメイテック<9744>が発表した今期営業赤字転落の見通しだ。前期の営業益92億円から、今期は一転、31億円の営業損失を見込む。最大の要因は自動車はじめ製造業の開発投資抑制が直撃し、受注が急落した点にある。年間年始の「派遣切り」の折にも、メーカーは製造ラインは止めても、研究開発投資は止めないとみられていたが、3月期末を前に技術者稼働率の急激な低下に見舞われた。同社の西本甲介社長は「バブル崩壊直後以来の厳しさ」と危機感を強める。同社を始めとした技術者派遣各社は、仕事のある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣とは異なり、正社員として育成した技術者を派遣する形態を取るため、稼働率の低下が収益悪化に直撃する。同業のアルプス技研<4641>、VSN<2135>も会社営業益計画は未達の公算が大きい。
また、事務派遣も大手のテンプホールディングス<2187>は主力の一般事務派遣、専門事務派遣とも厳しく3割超の営業減益見通しだ。パソナグループ<2168>も好調の福利厚生代行が稼ぐが、主力の事務派遣は不調が続き、利益底ばい状態にとどまる。両社とも製造業、金融業向けの派遣の落ち込みが響いている。製造派遣は厳しさが続く。中堅のワールドインテック<2429>、アウトソーシング<2427>は、1~3月の四半期決算でそろって営業赤字に転落。アウトソーシングは同業の買収や新規事業の貢献で増益計画を掲げるが過大感が強い。
かつて最大手だったラディアホールディングス(旧・グッドウィル・グループ)<4723>は3月末で196億円の債務超過。6月までに会社しなければ上場廃止と瀬戸際に追い込まれている。フルキャストホールディングス<4848>は製造派遣と技術者派遣から撤退。日雇い派遣と新規の営業業務請負に経営の軸をシフトし再建を図る。
(風間 直樹)
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