【産業天気図・情報・通信業】不況の影響も限定的で相対的には業績安定。通信高速化やスマートフォン分野の成長にも注目

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予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

携帯を中心とする通信業界の天気は2009年度前半「曇り」、09年度後半も「曇り」が続きそう。大幅営業増益が見込める企業もあるので晴れに近い曇りといえる。内需の代表格である通信業界は、既存顧客から安定した収入が得られるため景気悪化の影響は限定的。NTT<9432>の前09年3月期営業利益が日本一となり、携帯各社の業績が好調に推移したのがその証左といえる。
 
 携帯シェアトップのNTTドコモ<9437>は、前期は割賦販売の浸透で代理店への手数料が減り営業増益を後押ししたが、今10年3月期はその効果が一服するため営業小幅増益どまり。増益と言っても、同社の規模から考えれば横ばい圏といえる。ドコモより遅く割賦販売を開始したKDDI<9433>(au)は、今期も代理店への手数料削減効果がまだ見込めることと、固定通信事業の赤字幅縮小で営業増益を維持する。3社の中でいち早く割賦販売を開始したソフトバンク<9984>は、2年割賦を終了する顧客が増え、それに合わせて割賦期間の特別値引きの負担も軽くなることから大幅営業増益。持分会社イー・モバイルで通信データカード主体のモバイル事業を展開しているイー・アクセス<9427>は、イー・モバイルが順調に加入者を増やし、先行赤字が峠越えとなることから営業外収支が大きく改善、最終利益も黒字化する。
 
 今後の注目点は、モバイルブロードバンドの環境整備と、スマートフォンやデータ通信の分野がどれだけ成長するか。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイルの4社は6月、次世代となる3・9世代の高速通信ネットワーク整備に向け周波数割り当てを認められたばかり。4社累計で14年度末までに1兆1297億円の設備投資が計画されている。

一方、KDDIやインテルなどが大株主のUQコミュニケーションズが7月、携帯回線とはまた違う「WiMAX(ワイマックス)」と呼ばれる高速無線通信サービスを開始する。今後、ワイマックスの通信モジュールを内蔵したPCが発売されることから、携帯各社が提供する通信データカードとの競争も注目されるところ。「アイフォン」のようなPCに近い端末がロングセラー化しており、またグーグルの携帯用OS「アンドロイド」を搭載した端末も登場しており、スマートフォン市場も一段と活性化しそうだ。
 
 音声収入の落ち込みから減収が続くNTTは、コストダウンや減価償却費減などで営業益横ばいを維持する。ブロードバンドの世界では、ADSLからFTTHへのシフトが進んでいるものの、FTTHに比べて安価なADSLが善戦しているのは不況の影響も多分にある。FTTH(光ファイバーサービス)のさらなる普及に向けては、価格面のみならずサービスやコンテンツの拡充など、もう一工夫必要となるだろう。

(高橋 志津子)

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