エルピーダ、パイオニア...業績不振企業は資本注入で復活するか
09年3月期末の純資産は前期比6割減の1118億円。自己資本比率25・8%は電機他社に比べて低いとはいえないが、今期も構造改革特損計上で830億円の最終赤字を見込んでおり、このままいけば、今期末の純資産は300億円に減少する。
約1700億円の有利子負債があるが、09年3月末には三菱東京UFJ銀行を中心とする銀行団が付した財務制限条項に抵触した。さらに、11年3月期末に、過去のプラズマ工場買収時に発行した転換社債500億円の償還を迎える。足元の財務悪化、運転資金逼迫への対応に加え、償還原資の確保も喫緊の課題だ。
パイオニア再生のカギを握るのは、今後売上高の過半を占める車載事業だ。4月下旬、大口顧客であり開発提携パートナーでもあったホンダからの約25億円の出資や、中国の完成車大手・上海汽車工業との合弁、国内同業の三菱電機との車載関連での開発提携などを一挙に発表、同事業での成長性・重要性をアピールした。
自動車不況の底打ちが依然不透明な中、車載事業への傾注を前面に打ち出すパイオニアが公的資金を獲得できるか。事態は予断を許さない。
INTERVIEW>>>「資本注入企業は短期的には破綻リスクがなくなる」
メリルリンチ日本証券調査部チーフ・クレジット・ストラテジスト 魚本敏宏
事業会社に対する公的資金の資本注入は、金融システムがマヒした状態では、やむをえない。大企業であっても一時的な資金ショートや信用不安で倒産するおそれがあった。3月危機、あるいは5月危機に備えて、当局が万全の体制を整えようとした政策意図は理解できる。
公的資金の資本注入の申請に踏み切るのは、数社にとどまる見込みだが、少なくともエルピーダメモリに関しては、救済する意義があると考える。エルピーダのDRAMは汎用品だが、電気製品には欠かせない基幹部品だ。仮にエルピーダが破綻すれば、日系の電機各社は従来以上に海外製に頼ることになり、電機各社にとってDRAMの購買価格は上昇してしまうだろう。