エルピーダ、パイオニア...業績不振企業は資本注入で復活するか
公的資金による民間企業(事業会社)への資本注入が可能になる「改正産業活力特別措置法(改正産活法)」が4月施行された。
金融危機で業績が悪化した「国民経済への影響が大きい」大企業を支援するため、日本政策投資銀行が出資する。間接的ではあるが、政府が銀行以外の民間企業の“株主になる”道を開いた、異例の緊急措置だ。
出資先企業の経営破綻などで損失が発生した場合、損失額の5~8割を財投資金を原資とする日本政策金融公庫が補填する。つまり国が面倒を見ることになる。
半導体DRAM専業メーカー、エルピーダメモリの坂本幸雄社長は「検討中」としながらも公的資金への前向き姿勢を示している。
1999年12月に日立製作所とNECのDRAM事業が統合してできたエルピーダ(2003年に三菱電機のDRAM事業も譲り受け)は、12カ月の決算だった過去9期のうち7期が最終赤字。09年3月期は1788億円の最終赤字で、9期累計の最終損益は2200億円超の赤字だ。
シリコンサイクルと称されるように半導体産業は業績の浮き沈みが激しい。とりわけ、DRAMはその傾向が強い。汎用品が多く、市況で価格が決まるうえに、回路線幅の微細化による生産コスト引き下げを狙い、業界各社が設備投資を競うからだ。新設備が立ち上がると、一気に供給量が拡大、需給悪化による価格暴落を繰り返してきた。
一昨年からの価格下落は極端だった。1ギガビットDRAM(標準品)のスポット価格は、07年夏の6ドル超から08年初には2ドル前後まで下落。さらに世界景気の悪化で需要低迷が深刻化した08年12月には60セントを割り込んだ。
DRAM各社は採算が悪化。エルピーダも08年1~3月期以降、粗利益さえ確保できない状況に陥った。09年1~3月期は、売上高464億円に対して、営業損益は494億円の赤字になった。