エルピーダ、パイオニア...業績不振企業は資本注入で復活するか
それでも坂本社長は「最悪期は脱した」と強気の姿勢を崩さない。あまりの安値に脱落するメーカーが出始めたからだ。今年1月には世界5位の独キマンダ社が倒産。生産コストの高い、古い設備を止める動きも出てきたため需給は改善している。
DRAM価格は5月に一時1・3ドルまで反転した。年間平均で1・5ドルを超えれば、エルピーダは黒字化が見えてくる。もっとも、一本調子の価格上昇を期待するのは楽観的すぎるかもしれない。価格が上がれば、潰れかけた企業や設備が動き出すのが、この業界の常であるからだ。
こうした状況に、業界再編の動きも出てきた。台湾では政府が主導して設立する台湾メモリー(TMC)下に、台湾のDRAMメーカーを集約する構想を進めている。このTMCとエルピーダは技術協力を予定しており、さらに資本提携に踏み込むことも検討している。
「首位のサムスン(電子)以外は団子状態。仮に公的資金が100億円でもあれば、最先端の露光装置が2台買える。そうすればコスト競争力が増し、生き残る可能性が高くなる」(半導体業界に詳しいアイサプライ・ジャパンの南川明副社長)。
「理想は2社。悪くても3社になるとDRAMは安定したビジネスになる」(坂本社長)。エルピーダは日台の公的資金も活用して再建を図り、残存者利益を狙う。
公的資金検討のパイオニア 資金繰りは綱渡り
「当面必要な資金の一部として、公的資金の申請を検討している」。パイオニアの小谷進社長は5月中旬の決算会見で明言した。政投銀はすでにパイオニアのデューデリジェンス(資産査定)に入っているとされる。政投銀が査定の結果「投資回収性あり」と判断すれば、7~8月にも出資が行われる見通しだ。
プラズマパネル事業のつまずきで、パイオニアは05年3月期から5期連続で最終赤字を計上している。09年3月期は、自動車不況によって収益源の車載機器事業まで赤字転落したため、カネ食い虫のプラズマ事業からの完全撤退を余儀なくされた。プラズマ関連の人員・工場リストラによる特別損失で最終赤字は1305億円と巨額になった。