アデランス経営の混沌、会社提案がまたも否決

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 社内には難題が山積する。渡部新社長は本体の副社長や生産子会社社長を経験したOBで、スティールには旧経営陣に不満のある元役員らが引き合わせたとされる。そのため�敵側�についた渡部氏への拒否反応は強く、株主総会直前にアデランスが出した文書にも、「当社と利益が相反する事業を行うとともに、訴訟の相手方に積極的に協力するなど、敵対的な関係にある」と激しい批判がつづられた。

アデランスの各子会社にも、昨年の定時株主総会で役員再任を否決された岡本孝善元社長らが取締役として残っていた。「この1年、岡本氏らが経営を骨抜きにした」と激怒するスティール側と今後、激しい攻防となるだろう。

経営の混乱で業績や株価が低迷し、損害を被るのは当のスティールである。スティールのアデランス株の平均取得価格は約2700円だが、現状は3分の1程度。「友好的に再建を目指したユニゾンに任せたほうが得策だったのでは」(業界関係者)との声を跳ね返せるか。

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(吉川明日香 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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