アデランス経営の混沌、会社提案がまたも否決
アデランスホールディングスの株主総会で、会社側の人事案にまたも株主が�NO�を突きつけた。
5月28日に行われた株主総会の争点は昨年同様、役員の選任だった。4月に国内系投資ファンドのユニゾン・キャピタルと組んだアデランスと、経営陣交代を狙う筆頭株主のスティール・パートナーズとが、それぞれの取締役選任案の可決を目指し委任状争奪戦を繰り広げた。軍配が上がったのはスティール。会社提案の候補のうちユニゾン関係者の3人が否決され、新役員10人中7人をスティール提案の候補が占めた。
アデランスの敗因はユニゾンとの資本業務提携の中身にある。ユニゾンは自らの役員選任案が可決されれば、6月1日から株式公開買い付け(TOB)を実施すると表明していた。が、事前に公表されたTOB価格は実勢株価とほぼ同等の1000円(その後、1200円に修正)。TOBに失敗した場合は、アデランスとの提携を解消するとも宣言し、株主から「割安な価格でTOB応募を強いており、応じられない」などの批判が噴出。スティール側に賛成票が流れる結果となった。
新布陣に難題山積み
株主総会後の取締役会では、スティールが推薦する渡部信男氏の社長就任が決定。経営の主導権を握ったスティールだが、企業経営に関与するのはこれが初。「スティールはユニゾンのようなバイアウトファンドではなく、数十社に分散投資する投資信託のような存在。経営を行う体制がない」(服部暢達・早稲田大学大学院客員教授)と手腕を不安視する声も上がる。