株価反転には「米ドル下げ止まり」が必要だ 飽きられ始めている黒田日銀総裁の「芸風」

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黒田総裁は、とにかく明るく「景気はそのうちよくなる、物価上昇率も目標にいずれ近づく、だから元気におカネを使おう」と呼びかける。しかし、このように企業や家計の心理に働きかけようとの「芸風」は徐々に飽きられている。マイナス金利導入も、銀行が積み上がった現金を融資や投資に回す、という狙い通りの効果より、マイナス金利の負担を預金金利引き下げで預金者につけまわすのではないかといった、悪影響への懸念のほうが大きい。MMFについては、運用難から新規資金の受け入れが中止されるなど、混乱も生じている。

そうした懸念を知ってか知らずか、日銀は2月3日(水)に、本来であればマイナス金利が課されるはずの部分について、日銀の裁量でゼロ金利を適用する額を増やし、最終的に対象となる金額を常に10~30兆円の範囲に抑え込むことを発表した。これでは、マイナス金利導入の効果を抑制したいのか、であればなぜそもそも導入したのか、という疑念が広がってもおかしくない。金融政策の効果のあるなしを断じるのは時期尚早だが、少なくとも手放しで高く評価することは危険だと考える。

2月に入って変化が見られる株安の原因

とすれば、今後の日本の株価を論じる上で、金融政策を気にしても仕方がない。そこで他の要因を並べてみると、1月を中心とした株価波乱と、2月に入ってからの展開とでは、変化があるように思われる。

1月は、中国株価の下落や中国経済悪化の他国への影響、原油価格下落のマイナスの効果(プラス効果は無視)、何でもかんでも「リスク回避のための円高」と称して円を買う理不尽で全面的な円高などが、世界の株式市場の混乱要因だった。

ところが2月に入ると、予断は許さないとはいえ中国株価はやや落ち着いた動きを示している。日本の企業収益に与える悪影響に関しては、足元の決算発表で確認が進んでいるところだ。ただ、これまでは「何だかわからないがとても大変なことになるだろう」と市場がおびえていたものが、悪いなら悪いなりに収益押し下げの度合いが見えつつある。

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