熱帯びるフィンテック、果実を得るのは誰か ブームに落とし穴はないのか

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年明けから乱高下を繰り返す日本の株式市場でも、関連銘柄は大きく値を上げた。とりわけ注目を集めるのが、未上場企業のテックビューロだ。

2015年末以降に同社と提携したインフォテリアやさくらインターネット、アイリッジは、一時軒並み株価が急騰した。SBI証券投資調査部の藤本誠之シニアマーケットアナリストは「フィンテック銘柄は、短期的に割高になっているが、中長期的に夢が持てる」と指摘する。

フィンテック銘柄は株式市場でも注目を集める

テックビューロが得意とするのは、「ブロックチェーン」(分散型の電子台帳)という技術だ。たとえば銀行振り込みは支店、本店、全銀ネット、日銀ネットとさまざまな機関が個別に持つ台帳を、一つずつ経由して決済される。

これに対しブロックチェーンでは、振り込みなどの取引情報を取りまとめ、ネットワークの参加者同士で正確性や同一性を確認した後、自社で管理する電子台帳に記録する手順を踏む。取引情報(ブロック)を電子台帳にとじ込む仕組みが、チェーンでつなげるように見えるので、ブロックチェーンと呼ばれる。

各社が集中管理している台帳を持つのに比べ、分散台帳は安全性が高く、低コストで運用できる。「(集中管理された)郵便のシステムが(サーバーによって分散管理される)電子メールに代替されるイメージに近い。データの記録方法を根本的に変える可能性がある」(野村資本市場研究所の淵田康之研究理事)。

フィンテックには政府も熱い視線を注いでいる。今通常国会で提出される銀行法の改正案には、日本の金融グループが金融関連IT企業などへ出資しやすくする内容が盛り込まれる予定だ。

金融庁は15年12月、ベンチャー企業などから相談を受ける、「フィンテックサポートデスク」を設置。経済産業省も15年10月から経営者や有識者らを招いた研究会を行っている。

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