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■口コミで広まったSlack

多くのパブリッシャーにおいて、Slackの利用は自然と開始された。当初、Slackはタイム社、「クオーツ」とVox Media、それぞれの商品開発部門のスタッフによって使用されていたが、彼らからそれぞれの編集部にSlackの利便性を伝えたところ、編集側でも使用されるようになったという。だが、販売部門のスタッフにはあまり受け入れられなかったようだ。

「魅力的なものを取り入れることが大好きだ」と、タイム社の最高技術責任者であるコリン・ボーデル氏は話す。タイム社はおよそ150本ものSlackチャンネルを運用し、1200人ほどのSlackユーザーを抱えている。「誰かにこのツールを勧めたとしても、価値を認めて使いはじめる人もいれば、価値がわからずに使わない人もいる。Slackにおいては、私たちは口コミで広めただけだ」と付け加えた。

各社のSlack運用戦略

しかし、Slackに関してはほとんどのパブリッシャーが似通った戦略をとっている。Vox Mediaには656人ものSlackユーザーと数百本ものSlackチャンネルが存在するが、これらはプロジェクトやイベント、オフトピックな話し合い(コーンフレークに特化したチャンネルも存在する)などを中心に、多くが専門チャンネルとなっている。「私たちは、チャンネル作成の工程まで管理するつもりはない。新しいチャンネルを作っては、古いチャンネルは閉鎖している」と、Vox Mediaのスティール氏はコメントした。

愛されているSlackだが、欠点がないわけではない。そのひとつにメールがある。場合によってはメールの代わりにもなるが、Slackだけだと心もとない。「クオーツ」のスワード氏は、日頃チェックするものが増えたと話す。

また、タイム社のボーデル氏はSlackの発展によってタイム社に何かしらの被害が出ないかと、常日頃から恐怖がつきまとっているという。そのもしもの時のために、タイム社は事業継続計画までをも準備していると話す。ほかにも、Slackを利用しすぎることでスタッフの生産性に悪影響を及ぼすのではないかという不安もある。

■傾倒しすぎることへの懸念も

パブリッシャーにはSlackに対する多大なる愛情があると同時に、嫌悪感もあるようだ。

「Slackは怪物にもなる。大好きではあるが、『これを使うのは辞めたほうが良い』と思える時がときどきある」と、スティール氏は語った。「私たちに何かを与えてくれるものは、私たちから何かを奪っていく」。

(原文:Ricardo Bilton / 訳:BIG ROMAN)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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