"引き締め"を促しかねない「ネガティブ金利」 日銀の最終兵器が金融緩和の阻害要因に!?

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さて、実際に銀行はどうすることになるでしょうか。

今までに積み上げた超過準備はこれまで通り付利されるわけで、これはまずはめでたしめでたしというところですが、今後新たに積む分は逆に0.1%を巻き上げらてしまうわけですね。

しかも、今回の政策を受けてすでに国債は8年までがマイナス金利となってしまっており、10年債も時間の問題。そうなると保有している国債は値上がりしていることになりますから、これを途中で売却する(=日銀のオペに応札する)インセンティブはぐっと下がりますね。

持っていれば価値が上がり、売ればペナルティーを取られ、さらに再投資しようと思えば満期で損をしてしまう国債しか市場にないわけですから、圧倒的に不利です。ということは日銀が従来やってきたバズーカと言われる国債の買いオペレーションが意に反して滞る可能性は十分あります。つまり究極の緩和をやったつもりが、実際には緩和を阻害する要因となる可能性があるということです。

あせった銀行がハッスルしてしまう恐れ

さらに・・・従来の銀行は、ひたすら国債を入札で購入し、そのまま日銀に売却すれば利益が出て、そのまま日銀に置いておくだけで利息まで付くという夢のような日々を送っていましたが、これからはそうもいきません。

最も心配されるのは・・・欧州では実際に起こっていることなのですが、銀行がその分を取り戻そうと、どこか違うところで収益を上げようとしてハッスルしてしまい、それこそ住宅ローン金利を上げたり、個人の預金にペナルティーを科す、などという行為に至ること。

これはわれわれの生活にもろに影響してきますし、金融緩和を真っ向から否定するようなアクションになってしまいますね。こうなると日銀としてはまさに逆効果なのですが、実はその可能性は十分あります。銀行がさらに金利を取るというのですから、もし起きるならわれわれにとってはまさに「引き締め」になってしまいます。

恐らく日銀としては、日銀当座預金におカネを置いておいても仕方ないので、融資でもしますか・・・と銀行が素直に融資を伸ばしてくれる・・・というのが最も望むところなのでしょうが、残念ながらそうはならないでしょう。もう長らく(10年以上)低金利が続いており、国債は持っていたもん勝ちという観念が広くあまねく銀行にいきわたっているからです。

預貸率という数字があります。銀行がどれだけの預金を貸し付けに回しているのかを示すのですが、これだけ長期にわたり緩和を続けていても、その数字はなかなか上がらなかったのです。これは余計なローンを出すよりも国債を持ってじっとしていたほうが安全だ、と考えていた銀行が多かったことにほかならず、地銀などでは50%すれすれのところまであります。銀行(金貸し)ではなく国債保有機関だろ、と揶揄される理由です。

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