米大統領選、トランプ候補に初戦敗北の衝撃 アイオワ州の党員選挙で何が起こったのか
クリントン候補は選挙後の演説で笑顔を見せることはなく、「私たちは、今、本当のアイデアを競い合い、民主党が誰を代表し、アメリカの将来について何を望んでいるのか真剣に考える稀な機会を得た。私は人々のために何かを成し遂げる進歩主義者である」と訴えた。
一方で、サンダース候補は「今夜、実質的にクリントン候補と互角の戦いをし、アイオワ州の代議員の半数を確保した」と”勝利演説“を行った。クリントン候補が「進化(evolution)」を主張するのに対して、サンダース候補は「革命(revolution)」を主張している。
ニューハンプシャーで何が起こるのか
アイオワ州での戦いが終わると、両党の候補者は2月9日に予備選挙が行われるニューハンプシャーに深夜の飛行機で飛び立った。
ニューハンプシャー州の規模はアイオワ州よりもさらに小さい。代議員数は共和党が23人、民主党が32人である。しかし、アイオワ州とニューハンプシャー州の結果が、候補者の未来に大きな影響を及ぼす。勝ち目のなくなった候補者は、支持者も減り、選挙運動を続ける政治献金もなくなり、脱落していくからだ。
マサチューセッツ大学のニューハンプシャー州の支持率調査では、共和党の場合、トランプ候補の支持率は38%、クルーズ候補は14%、ルビオ候補は10%となっている。民主党の場合、サンダース候補が63%と圧倒的な支持を得ており、クリントン候補は30%に低迷している。
共和党は依然としてトランプ候補が優勢であり、クルーズ候補が追いかけ、そのあとにルビオ候補が続くという構図に変わりはないように見える。民主党は名実ともにクリントン候補とサンダース候補の一騎打ちである。
トランプ候補は依然として、高い人気任せという選挙運動を展開しているが、もしニューハンプシャー州で勝利できなければ、急速に勢いを失うことになるだろう。台風の眼になりそうなのが、ルビオ候補だ。共和党の穏健派や党中央はルビオ候補を支援しており、企業経営者と一緒に選挙資金を潤沢に提供する方針を明らかにしている。もし2位に付けることができれば、同候補は一気に浮上してくる可能性がある。
クルーズ候補はアイオワ州での勝利の勢いを続けたいところだが、今までの選挙運動で同州にはあまり力を入れてきていない。むしろ同候補は2月20日に行われる保守派が強いサウスカロライナ州で積極的な運動を行ってきた。
民主党はどうか。世論調査では圧倒的にサンダース候補がリードしている。同候補はバーモント州選出の上院議員で、ニューハンプシャー州とは同じ東部の州で親近感が強いことも、プラスに働くだろう。
クリントン候補も2008年の失敗を教訓に、地元での組織作りを強力に進めてきた。資金的にも極めて潤沢である。この1週間の選挙運動の展開で状況が変わる可能性がある。
本命不在と言われた、米大統領選。長い戦いの先に誰が勝ち上がっていくのか。
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