株価急落のパナソニック、「失望決算」の中身 9%下落、2年3カ月ぶりの1000円割れ

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前述の年頭所感で「既存の延長では成長できないことが明らかなのに、期限を決めずに努力を続けている」、「間に合わなければ次はない、との危機感が足りない」など社員に向け厳しいメッセージを出したが、現状を自覚させる狙いがあったのだろう。

ただ、パナソニックの売り上げが停滞しているのはここ数年の話ではない。初めて売上高が7兆円を突破した1991年度以降は、長らく6兆円台と7兆円台の間を行き来する状態にあった。

2000年代中ごろ、デジタルカメラやプラズマテレビをテコに拡大路線を採り、2004年度~2007年度は9兆円前後での推移となった。だが、過剰投資があだとなり、2011年度、2012年度と巨額赤字に転落。結局、2011年度~2014年度の売上高は7兆円台で推移した。パナソニックにとって売り上げの成長は20年以上に渡る課題なのだ。

買収事業の早期貢献がカギになる

背景には、家電など消費者向けビジネス(BtoC)が歴史的に強いことがある。消費者向け製品は重電のように大規模投資を必要としないため参入障壁が低く、単価下落が激しい。加えて製品のライフサイクルが短く、単品売り切りのビジネスであるために、BtoBビジネスに比べて安定的な成長が難しい。

コスト削減だけでなく、規模拡大を果たせるのか(撮影:風間仁一郎)

そうした反省から、津賀社長の就任以降、車載、住宅、BtoBの3分野に、経営資源を集中させる方針に転換。15年度からはM&Aや出資協業を積極的に行い、非連続的な成長を目指すとしており、この方針に変わりはない。

今後の成長に関し、みずほ証券の中根康夫アナリストは「既存事業の大幅増収は難しい状況。フィコサ(スペインの自動車部品大手、2015年7月に資本提携)やハスマン(米業務用冷蔵庫大手、2015年12月に買収)などの買収事業を早急に売上・利益貢献させるための方策や、不要不急の研究開発費・固定費の再見直しによるコスト圧縮、半導体・液晶・一部電子部品・部材などの再縮小・減損・撤退など、事業ポートフォリオの考え方を改めて提示できるかがカギになる」と分析している。

株価の急落は、リストラ頼みの利益改善であることや、一段の成長に時間を要する点などを反映したものと考えられる。事業環境の変化に対応し、悲願の「実質増販」を達成できるか。就任4年目の津賀社長は、より柔軟かつ迅速な舵取りが求められている。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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