FX業界が戦々恐々 規制強化の波紋
そして今や100倍は当たり前。200倍、400倍……。中には600倍超というレバレッジを掲げる業者も出現。一獲千金を夢見て1日に何度も売買する投資家が増えれば、業者の懐も潤う。かくして一部の業者は「レバレッジバブル」(FX会社社長)の恩恵に浴していた。
これに対し、「高レバレッジは過当な投機を助長するおそれがあり、適切ではないと考えている」(金融庁)と待ったをかけた格好だ。「高レバレッジで取引をする投資家はハイリスクを熟知している」。業界からはこんな反論も聞かれるが、金融庁担当者は「(既存の)FX投資家の意向に反していることが、必ずしも顧客利便に反するとは限らない」とする。
一方、ハイリスクから投資家を守るために多くの会社が取り入れているのが、冒頭の規制強化策の一つ「ロスカットルール」だ。これは、証拠金に対する損失が一定割合に達した段階で、FX会社が投資家に代わり強制的に手仕舞い(反対売買)し、損失を確定させるというもの。
だが実際は、相場の急変動でロスカットができず、証拠金以上に損失が膨らむリスクがある。こうしたケースについて「(高レバレッジのため)証拠金を上回る損を被ること自体がそもそもおかしい」(金融庁担当者)とし、ロスカット順守とレバレッジ規制併用の意義を強調する。
業界関係者の懸念 上限圧縮はどこまで
「金融庁は同規制の上限を20~30倍前後とする方向で検討」--4月下旬、一部報道を目にした業界関係者らには衝撃が走った。
20~30倍というレバレッジの水準はまさに“寝耳に水”だったからだ。FX規制の導入に当たり、「異例とも言えるほど、業界とは時間をかけて話し合いをしてきた」(金融庁幹部)ため、業界側もレバレッジ規制にまで踏み込まれることはある程度想定していた。しかし、「具体的な数値への言及はこれまでなかった」と業界関係者は口をそろえる。