餃子の王将、店ごとにまったく違うメニューで勝負、関西発「常識破り」経営

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餃子の王将、店ごとにまったく違うメニューで勝負、関西発「常識破り」経営

消費不振で業界全体が低迷にあえぐ中、成長を続ける外食チェーンがある。中華料理店「餃子の王将」(王将)だ。

王将を展開する王将フードサービス(本社京都市)は、関西や関東圏中心に523店舗(直営店341、FC182店舗)を展開する。その勢いはすさまじい。20カ月連続で、前年を上回る売上高を更新中(既存店ベース、以下同)。この3月の売上高は前年同月比14・2%増と1967年の創業以来、過去最高の伸び率となった。

現場がメニューを考案 個性重視の店舗展開

好調の理由は、店舗ごとに違うこだわりのメニューにある。「梅田セット」「阪急東通りセット」「お好みセット」。各店舗には、それぞれが独自に考案したメニューがズラリと並ぶ。40品目ものオリジナルメニューをそろえる店舗もある。しかも、酢豚や焼きそばなどのタレまで店独自で作っているため、料理の味付けも微妙に違う。チャーハンやエビチリなどの全店共通メニューも、地域ニーズに基づいて「やや辛め」などの調整が可能だ。地域密着型の調理が、消費者を引きつけた。

「店は個性を売らなあかん」--。王将の大東隆行社長は、店舗の独自性を強調する。そのため、メニューの考案や価格設定だけではなく、バイトの時給や広告のチラシを出す回数、さらには営業時間の設定までも店長に権限委譲している。

店舗への“しばり”も少ない。本部が店舗に課している指標は、人件費率(売上高に対して21%)と、利益率(売上高に対する粗利益率が60・5%以上)だけ(店の規模によって異なる)。「決められているのは、ほぼこれだけですわ」(西村憲一さん、京橋駅前店店長)。店長は客数や売り上げ単価など、独自に設定した目標の達成に力を注ぐ。本社は営業成績を日商ベースで細かくチェック。約20店舗を管轄するエリアマネージャーが、週に数回のペースで各店舗の状況を視察する。

それでも本社はあくまで店舗の後方支援に徹しており、いわば「店舗主導型」の運営を貫く。これは「常識のチェーン展開とは逆の手法」(外食チェーン幹部)といえる。一般的に外食チェーンは、本部主導でメニューや価格などを統一し、効率性を重視する。

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