好調!990円ジーンズ、「ジーユー」ブランド復権の舞台裏


 かつて柳井会長は、ジーユーについて繰り返しこう指摘していた。「ブランドの認知度も目玉商品もない」。目玉商品とは「ジーユーといえばこれ」と言えるような象徴的な商品のこと。これまでも、ジーンズはジーユーの売れ筋ではあった。その価格は、国内最高品質をうたうユニクロジーンズ3990円に対して半値の1990円。だが「それなりに安いが、期待を超える価値にはなっていなかった」と中嶋社長は振り返る。

生産体制の改革とほぼ並行して、ジーユーではジーンズを「目玉商品」として打ち出すための仕込みに取りかかる。当初は、1990円よりさらに割安感を出そうと1490円で計画。そこへ「驚きというならやっぱりキュッキュー(990)でしょ」という柳井会長の一声。これ以降、3ケタ価格の990円でも利益が出るような生産・販売の仕組みを詰めていくことになる。

低価格でも品質を落とさず利益を出すためには、売り切って値引きを極力避けなければならない。そのために、ジーユーでは品番数も絞った。計画精度を上げるためだ。従来、春夏で800品番ほどあったものを、500~600とユニクロ程度にまで削減。「これと決めたものを仕掛けて売っていく」というユニクロのDNAともいえる手法を、ジーユーでも実践することとなったのだ。

徹底的な低コスト化は独自の運営ノウハウ

ただユニクロ流を踏襲するだけではない。これまでの2年間では、独自の「ジーユー流」も培ってきた。徹底的に省力化した店舗オペレーションがその一つ。ジーユーの店頭には、ハンガーで吊るした商品が多い。実はこれが、スタッフの手間を大幅に削減している。

商品はハンガーで吊るされて店に納品される。陳列もパッケージ化されているので、スタッフはそのまま所定の売り場に並べるだけ。ユニクロのように客が物色した商品を丁寧に畳み直さなくても、売り場と商品が雑然としない。最小人数で店舗を運営するためのノウハウなのだ。

華々しい再デビューを遂げたジーユーだが、「ジーンズに続く魅力的な商品開発はもちろん、まだやることは山ほどある」(中嶋社長)。ブランドが、次なる進化に挑戦する。


(週刊東洋経済)
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