『ソーシャル消費の時代』を書いた上條典夫氏(電通ソーシャル・プランニング局長)に聞く

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--生物多様性にも、この本の1章を割いています。

生物多様性運動、つまり生物多様性を大事にすることは、環境のなかでの多様性を保持することを通じて、食の種類を大事にする、自然を大事にすることになる。企業もかなり気にしていて、社会貢献の一つとして取り組むところも少なくない。いきなりソーシャル消費とはいかないが、自然の中でいい日本が育まれ、いいコメができ、いい食材ができ、さらに豊かな水が保持されれば、と思っている。

--観光もソーシャル消費の大事な柱と考えていますね。

政府の海外観光客目標はハードルが高い。しかしここは勝負どころ。観光の波及効果は大きい。ホスピタリティに加え、景観自体を大事にすることにつながる。日本人の国内観光においても波及効果はある。たとえば棚田を見て大事にしようと思うことが、農業を大切にするソーシャル志向に結びつくかもしれない。

--15年に元気なシニア世代が溢れるとも。

自分の細胞が元気か元気でないかを測る装置が開発され、健康な中高年が溢れていくだろう。予防医学で細胞を活性化する健康食材が豊富になる。また健康に関するカウンセラーも中高年用に増える。病院にいかないという広い意味ではこれもソーシャル消費。中高年の健康増進効果でどんなビジネスが15年ごろにあるか、思っただけでわくわくする。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

かみじょう・のりお
1956年長野県生まれ。早稲田大学卒業後、電通入社。同社新聞局、ラジオテレビ局などを経て、87年電通総研の設立と同時に参画。2001年消費者研究センター局長。08年ソーシャル・プランニング局を立ち上げ、現職。日本オリンピック委員会事業広報専門委員。


 講談社 1890円

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