《検証・民主党》農業--1兆円掲げ与野党が激突、政局に翻弄されるコメ農家


 自民党は世界的な食料高騰への備えとして、小麦粉の代替品としてのコメ粉米や、エサトウモロコシの代わりとなる飼料用米の増産も打ち出した。09年度は「水田のフル活用元年」とされ、09年度予算ではコメ粉米や飼料用米生産のための補助金として1168億円が計上された。

そして極め付きが4月10日にまとめた総額1兆0302億円の「経済危機対策」としての農林水産予算(09年度補正予算)だ。同予算ではコメ粉米や飼料用米生産への補助金上積みのほか、畜産・酪農、林業、水産業対策も盛り込まれ、95年度のGATTウルグアイラウンド対策費を上回る史上最高額に達した。総選挙を目前に、自民党は大攻勢に出た。

民主党も対応を迫られた。1月には「農林漁業および農山漁村再生法案」を国会に提出。農林水産分野に年間1兆5000億円の財源を投じていく方針を明らかにした。

もっとも、政府与党の対策は選挙をにらんだものだけに、実効性は疑わしい。現在、水田の4割近くが生産調整に振り向けられている。その制約下で意欲のある農家が水田を集約して規模を拡大することは採算面からも困難だ。かといって、高齢化が進む零細兼業農家にコメ作りを依存し続けるわけにもいかない。

コメ問題に詳しい佐伯尚美・東京大学名誉教授は、「コメの政局作物化により、農政は長期的な改革の展望を失った」と指摘する。農業重視のスローガンとは裏腹に、農業を政争の具にした代償は大きい。

(週刊東洋経済)

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