《検証・民主党》郵政・政策金融--郵政民営化”中止”は特殊法人廃止と両立するか

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政投銀は元来、特殊金融機関という特殊法人にほかならない。財務省などからの天下り先でもある。一方、同党の07年参議院選時マニフェストでは「特殊法人、独立行政法人、特別会計等の原則廃止」によって、国家財政から3兆8000億円の無駄を省くことが謳(うた)われている。「天下りの根絶」もマニフェストに盛り込まれている。この点との整合性はどうなのか。

「もちろん、特別会計にメスを入れて、剰余金や天下りを解消しムダを省くことは重要だ。しかし、それと政策金融は別問題。政投銀の再国有化に反対は少ないはず。しかも、再国有化の場合でも天下りはしっかりと防いでいく」

大久保議員が指摘するように、経済危機の深刻化で企業の資金繰り難が解消されない中で、政投銀に期待する声は世の中に高まっている。それに応えるのが政治の使命であり、なし崩し的なものよりも抜本的な対策を打ったほうが好ましいといえるだろう。

その一方で、マニフェストに盛り込まれた「特殊法人、独立行政法人、特別会計等の原則禁止」は単なる謳い文句ではなく、同党が提示してきた一連の主要政策を実行するうえでの財源根拠の一部である。つまり、政策の明瞭さがかすむとともに、財源の土台にも影響が生じかねないのである。

非常時と平時 政策の整理が必要

そもそも、経済・金融危機という非常事態に対する政策的な処方箋が多種多様ということはありえない。危機で惹起された民間部門の信用力低下は公的部門が補完するしかないことは明らかだ。その意味では、政策金融をフル活用することに異論を挟む向きはないに違いない。

だからといって、「異常時」という看板を掲げれば、「平時」における政策の基本方針がぐらついていてもいいというものでもない。もちろん、政府・与党のような政策金融改革のなし崩し的な再拡大は、経済危機解消後の政策金融の出口戦略を危うくさせかねない。その一方で、民主党も非常時と平時という二つの局面での政策の再整理を迫られている。


(週刊東洋経済)

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