企業の変革支援がIBMの成長軸だ 橋本孝之・日本IBM社長に聞く

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--IT投資総額が減る中で、日本IBMを成長させるためには他社からシェアを奪う必要がある。

他社のマシンのリプレースを前面に押し出す営業だと、どうしても価格競争になる。他社のものをひっくり返すのではなく、たとえば富士通と日立とIBMのマシンが入っている企業のシステムを仮想化技術で一つのシステムのように統合する。こうするとトータルコストが安くなりますよ、と。コンサルティングから入っていくのが、今の主流だ。

IBM全社の決算を見ると、今回の金融危機の震源地であるはずの米国の金融事業向けのビジネスが、好調な成績を収めている。これは、まさに仮想化技術のおかげ。大手金融のお客様は待ったなしでコスト削減をしたい。今までは、この島はIBM、この島はヒューレット・パッカード、この島はどこどこ……、という具合にマルチベンダーでやっていた。しかし、全部1社に任せてでもコストを4割カットしろ、というのがニーズ。そこにIBMが乗り出している。まずは仮想化技術で別々のマニュアルで動いているシステムを集約し、運用コストを下げる。その後、時間をかけてマシンをIBMに切り替え、いっそうコストを引き下げる。こういう取り組みを多くの金融機関が始めています。

--とはいえ、国産ベンダーも仮想化技術を持っています。

仮想化技術では、他社に大きく差をつけています。これまで買収してきたソフト会社の技術も効いている。グローバルな体制も国産ベンダーとは違う。日本だけではなく、IBMは世界中で均質なサービスを提供できる。大企業ほどデータセンターが世界中にあるため、この点は重要です。

また、IBM自らが新しい技術に合わせて、企業をトランスフォーメーションさせてよみがえった経験を持っている。一方、国産ベンダーは自社の改革をできているかどうか。変革支援を行う際、この実績の差は大きいのではないでしょうか。

不正があったのは一部 同じ問題の再発はない

--粉飾決算の一種である循環取引に日本IBM社員が加わる事件が相次いだ。2007年3月には大阪地検特捜部による家宅捜索も受け、IBMのブランドイメージは大きく毀損しました。営業現場の意識改革は進んだのでしょうか。

問題があったのはほんの一部であって、全社の問題ではなかった。不正はできない、ということを社員はもう完全にわかっている。IBMはむしろインテグリティ(完璧性)、セキュリティという点で、どの会社よりも厳しい。あまり厳しくやりすぎると萎縮してしまう。萎縮するのではなく、厳しさが強さになるようにしていきたい。IBM自らが、いちばん厳しい基準を達成していく。そしてその基準を盛り込んだシステムをお客様にも売っていく。そういうポジティブな流れにしたい。

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