紳士服戦争が激化! 都心の出店攻勢で火花を散らす大手

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 「地価が下がったことで出店環境が整った。これからは都心に集中出店する」。4月15日、紳士服専門店「AOKI」を中心に展開するAOKIホールディングスの青木拡憲社長は、記者会見の席上で高らかに宣言した。

AOKIは紳士服業界2位で、最大手の青山商事に次ぐ。AOKIは今後5年間で、東京の都心9区に55店を集中出店する。5年後の紳士服部門の売上高目標1300億円のうち、都心店の売上高を300億円(現在5店、30億円)に拡大する方針。

その皮切りとして、5月末に約1000平方メートルの広さを誇る銀座店がオープンする。「平日でも職場の近くで手早くスーツを買いたい需要が増えている」(AOKIの清水彰社長)。銀座や新宿を除く大半は250~400平方メートルの小型店で攻める。

10年で市場半減 都心に再び熱視線

1980年代以降、紳士服専門店は郊外出店の波に乗り、百貨店や量販店からシェアを奪ってきた。矢野経済研究所によると、国内紳士服・洋品の小売市場における専門店占有率は約50%。百貨店の22%や量販店の15%を大きく引き離す。しかし都心に目を移すと、形勢はなお百貨店が優位。AOKIは、これを切り崩す狙いだ。

メンズスーツ市場は、洋服のカジュアル化や団塊世代のリタイアなどで縮小傾向が続く。2007年の市場規模は2700億円前後と、97年からほぼ半減。この間、紳士服専門店は淘汰・再編の渦に次々と巻き込まれてきた。

生き残った大手各社は、カジュアル衣料や女性向けのビジネススーツなどに進出。カラオケなど多角化路線も模索してきたが、高成長路線に回帰できていない。金城湯池であったはずの郊外店も、昨年はガソリン高騰で客足が鈍って軒並み苦戦。直近の決算では業界3位のコナカと、4位のはるやま商事がそれぞれ赤字転落を見込むなど“再々編”の声も漏れ始めた。


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