紳士服戦争が激化! 都心の出店攻勢で火花を散らす大手
紳士服専門店が都心進出を叫ぶのは、今回が初めてではない。バブル崩壊後の92年、郊外店での成功を背景に青山商事が都心で「2500円」スーツを限定販売するなど一世を風靡した。だが安さを前面に出しすぎたことが裏目となり、結局は浸透しなかった。
その後、中堅紳士服専門店のオンリーが「2プライススーツ」に絞った店舗を都心に積極出店。これに範をとる形で00年以降、はるやまが「パーフェクトスーツファクトリー(P.S.FA)」、青山商事は「ザ・スーツカンパニー」で大都市向けの2プライススーツ店を展開し、若者層を中心に獲得している。
はるやまは「都心店はP.S.FA主体で出店する」(治山正史社長)と、主力の郊外型店「はるやま」とは峻別して都心を攻略する。これに対してAOKIは、主力の「AOKI」業態で勝負する構えだ。
最大手・青山も参戦 市場混戦は必至
しかし都心攻略はそう甘くない。業界の注目を集める重要な店舗が東京・新橋にある。コナカが昨年9月にオープンした「コナカ・ザ・フラッグ」。同社が実験店と位置づける店で、4階建ての売り場面積は約900平方メートル。幅広いサイズ展開に加え、価格帯は1万~10万円まで取りそろえる。こまやかな品ぞろえがウリで、最上階の4階では空港のビジネスラウンジのような空間でゆったりと買い物できる。
ただ業界関係者の評判はいま一つ。「あの店はほとんどの大手に声がかかっていた物件。運営経費がかさんで採算が厳しいにもかかわらず、高単価商品へ顧客を誘導できていないのでは」との声が聞かれる。
コナカはこうした指摘を一蹴する。当初想定より顧客単価はやや低く推移しているが、来店客数は月を追うごとに増えているという。
各社が火花を散らす中、最大手の青山も動き始めている。全国約720店で「洋服の青山」を展開する同社だが、首都圏店舗数ではAOKIやコナカと拮抗する。こうした中、東京・神奈川・千葉・埼玉の出店を中期的に強化することを表明している。来春には千葉に新しい物流センターが稼働する予定だ。