2015年は、IPO(新規公開)市場にとって上出来の1年だったといえよう。人気のバロメーターである上場社数は92社と、2014年に比べて15社増加。公開価格に対して付けた初値の騰落率の平均は、87.5%と高水準だった。
ただ、IPO株を上場前に入手できる個人投資家は、ごく少数だ。大手証券会社の上得意客でもなければまず不可能で、入手できても最低投資単位だけ。初値で売っても、儲けはたかが知れている。
留意したいのは、初値騰落率の高い企業=有望企業ではないという点。騰落率を左右するのは、あくまで上場時の需給でしかない。ある市場関係者によれば「そのときの流動性にもよるが、株価に関係なく初値で買いに来る資金は、つねに5億~10億円程度存在する」という。結果、公募・売り出し規模が小さいほど、高倍率になりやすいのだ。
ちなみに昨年の初値騰落率トップは、自動翻訳サービスを手掛けるロゼッタの433%。同社の資金調達額はわずか2億7800万円にすぎなかった。
郵政グループは失速
現実的に個人投資家が勝負できるのは、上場後のセカンダリー市場となる。次ページのランキングは初値と時価を比べ、時価の騰落率が高い順に並べたものだ。こちらは上場後の決算や市場の評価を織り込んだ、実力ベースに近い評価といっていい。上場時の初値が高すぎた銘柄、2015年末からの地合い悪化に耐えられなかった銘柄は、マイナス圏に沈むことになる。上場後しばらくは株価が上昇した郵政グループ3社は、その後大きく値を下げた。
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